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オンラインニュースレター:2013年5月号

2013年5月号



オンラインニュースレター第2号に寄せて (e01)

高濱 洋介(徳島大学疾患プロテオゲノム研究センター)

発足から二年目を迎えた本新学術領域研究班は今春、公募班員16名の参加を得ました。研究班は、当初メンバーと連携研究者を含めて、43名の所帯となりました。新参加の班員各位は、厳格なる選考を経た強者(つわもの)ぞろい。心より歓迎いたします。また、順調に各自の研究課題を進展していかれますようにと大いに期待しております。研究支援の欄に記載していますとおり、研究班は班員の研究を支援しています。公募研究と計画研究のいずれもが支援対象です。具体的な支援要望等につきましては、いつでも遠慮なくご相談いただけますれば幸いです。
ニュースレター第1号の記事にも書きましたように、新学術領域研究では、「研究班を組織したことでどのような学術的メリットが生じたか」を明確に打ち出すことが必要です。この観点で、新たに参加された班員各位におかれましても、「免疫四次元空間ダイナミクス」という新学術領域のめざすべきところについて積極的に考察・発信し、本学術領域の発展と定着にご協力いただければとお願い申し上げる次第です。発足時のメンバーとともに検討した内容は、領域概要領域代表者挨拶の欄に記載しているとおりです。班会議や近く開設する班員ブログなどを通して、新班員各位を含め更なる議論を交わしていければと楽しみにしております。何卒よろしくお願い申し上げます。
このような議論を開始していくためにも、このニュースレター第2号では、公募班員各位に、自己紹介を兼ねて本領域に対する考えや抱負を執筆いただければと原稿依頼をいたしました。まずは届いた文章から順に掲載し、最終的には全員からの文章をご紹介できればと思います。新学術領域「免疫四次元空間ダイナミクス」に向き合う視点と意気を交換することで、本学術領域の意義について吟味を深める端緒になればと願います。(2013年5月8日)

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「免疫四次元空間ダイナミクス」参加に際して (e02)

深澤 太郎(理化学研究所バイオリソースセンター)

本領域へは「胸腺Tregニッチ仮説に基づいた成熟Treg“卒業証書分子”の探索」という課題で参加させていただきます。学位取得後初めての職での研究ですが、このところやっと芽吹いてきた、そんな実感が本領域への採択通知を頂いたときに湧き上がってきました。元々は発生学に興味があり大学院では理学系研究科の生物科学専攻へ進み、そこでアフリカツメガエルのオタマジャクシの尾の再生の研究をしていました。当初は形態形成に関わるような因子の研究になるかと思っていたのですが、進めていくうちに再生には免疫系が深く関与していることがわかってきました(尾を切断したときに大きな傷口ができるので、免疫応答が起こるのは今思えば至極当然なのですが)。免疫学の講義は受けたことが無かったので、読破できそうな一番薄い免疫学の教科書を生協で買ってきたのがこの世界への第一歩でした。私は免疫学のバックグラウンドもまだ浅いのですが、著名な先生方が名を連ねる本領域へ参加させて頂くことができ、誠に恐縮に感じると同時に非常に光栄に思います。学ばせて頂くことの方が多いかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。(2013年4月25日)

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新参加公募班員としての自己紹介と抱負 (e03)

岩田 誠(徳島文理大学香川薬学部生体防御学講座教授)

本年度より公募班員として参加させて頂くことになった徳島文理大学の岩田誠です。本学は、メインキャンパスが徳島市内にあり、大学名にも「徳島」が入っておりますので、「徳島に移られて如何ですか」と聞かれることも多かったのですが、私共は、香川県の志度という町にある香川キャンパスにおります。高松の東約12 kmにあります。私共の所属する「香川薬学部」は2004年にここに新設されました。私はその翌年に赴任して「生体防御学講座」を立ち上げました。セットアップに時間がかかりましたが、今では研究設備は一通り揃っており、研究と教育の両立を目指して頑張っております。本研究では、前職場から続けてきた「ビタミンAとその代謝産物レチノイン酸の免疫系における役割」の研究に基づき、小腸や腸間膜リンパ節などに存在するレチノイン酸産生樹状細胞(非炎症性「腸型樹状細胞」)の分化誘導の機序を明らかにしたいと思っております。そのために、in vivo四次元空間における樹状細胞の動きと周囲細胞との相互作用を解析し、その過程をin vitroで統合的に再現することを目指します。それによって、経口抗原特異的な炎症性およびアレルギー性疾患の新たな誘導機序の解明と、画期的な治療法確立のための基盤作りを目指したいと思っております。様々なご専門の先生方とのディスカッション、共同研究などを通じて、幅広く学ばせて頂けたらと存じます。何卒、宜しくお願いいたします。(2013年4月26日)

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「免疫四次元ダイナミクス」研究班へ公募研究として参加して (e04)

亀谷 美恵(東海大学医学部 基礎医学系生体防御学領域)

この度、新学術領域研究「免疫四次元空間ダイナミクス」に公募研究として参加させていただきました、東海大学の亀谷です。自分の今までの研究レベルからすれば、非常に高いレベルの先生方の研究に参加させていただき、とても嬉しいと同時に身の引き締まる思いです。私は垣生研の時代から免疫研究について勉強しながら、ラボでの立ち位置として教授のサブワークの仕事を担当し続けてきましたが、ここ5年ほど、やっと自分が本当にやりたいことを研究する環境が整ってきました。留学もせず子供を持ったりしましたので、驚くほどのスロー・スターターです。
さて、私は細々と癌の研究を臨床と共同で行ってきましたが、現在特に盛んである、突然変異に裏打ちされたテーラーメードの治療法とは異なる視点でこれを考えてみたいと思ってきました。癌は最終的には非常に多様でありながら、原則として共通の性質を持ちます。それは増殖・浸潤・血管新生・免疫抑制です。これを同時に持つ正常臓器を模倣した分化を癌が遂行していると考える事は理にかなっているのではないか、では、その正常臓器とは何か、そう考えて、胎盤にたどり着きました。しかし胎盤は癌にはならず、子宮筋層で浸潤は停止するので、その独特な環境、特に免疫との相互作用を解析することにより、あるべき免疫療法や分化誘導療法が見えてくるのではないかと思いました。
幸い私はヒトモデル動物についての研究を多く行ってきており、中でもコモンマーモセットという性成熟が早く出産数も多いユニークな霊長類の免疫系を解析するという経験があったため、比較的ヒトに近い胎盤環境を解析するチャンスに恵まれていると思います。しかし胎盤という材料から正しい答を得るための方法論はまだ未熟です。特に霊長類については抗体などのツールが少なく、どこから切り口を探せばよいのか、また、どのようなアプローチは可能なのかについて、十分先生方を納得させられるデータが出せるかどうか不安もあります。しかし厳しい議論の中でこのプロジェクトを磨いていきたいと思っております。
厳しいご指摘とアドバイスを、どうぞよろしく御願いいたします。(2013年5月2日)

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免疫四次元空間公募班員としての抱負 (e05)

片桐 晃子(北里大学理学部生物科学科生体防御学講座)

私は、リンパ球の停止・移動の基盤となっているインテグリンLFA-1を介する接着の制御機構について研究しています。リンパ球が血流を介して全身に配置された免疫器官を巡回するための経血管内皮移動は、「場」であるHEV(高内皮細静脈)からの情報をリンパ球が受容し、Rap1シグナルを介して、LFA-1が秒単位で活性化され、血流に抗して停止することが重要です。本研究班では、まず、このRap1による速やかなLFA-1活性化の機構を解明し、HEVによっていかに制御されているのかを明らかにしたいと思っています。さらに、分単位でRAPL-Mst1シグナルを経由して、ほとんど全てのLFA-1が、細胞内からの極性輸送でリンパ球の先端部へ集積し、それが新たな接着ポイントを創り出すとともに、この接着ポイントがそのまま移動装置として機能することを見出しました。新たな接着ポイントはリンパ球が高速で飛んでいるように移動したり、方向を大きく変化させるのに重要であり、「スキップ移動」と(勝手に)呼んでいますが、これがRap1シグナルによって誘導されると考えられます。一方、接着ポイントがそのまま移動装置として機能する仕組みは、自発的なendocytosis-recyclingで、Rap1シグナルは必要ないと思われます。また、Rap1シグナル依存性の接着ポイントは、リンパ球が抗原提示細胞上で完全に停止し、免疫シナプスを形成するのに重要です。抗原刺激によって接着ポイントは移動装置ではなくドーナッツ状のp-SMACとなります。このように、リンパ球は、そのリンパ器官の「場」であるストローマ細胞や樹状細胞から供給される複雑な情報を受容し、それを足場に移動する或いは停止しますので、本研究班では、まず「接着ポイント」の形成及び制御の分子基盤を明らかにし、それがどのように場からの液性因子或いは表面分子によって調節されているのかを解明したいと考えています。また、こうした研究を進展させ、これらのLFA-1制御分子を欠損させることで生じる、様々なリンパ球動態の時空間変化を、体内イメージングにより定量解析し、リンパ球の分化・選別・活性化にどのような影響を与えるのか解明したいと思っています。「場」という視点を共有することで、独自の知見を、動的な免疫システムの本質に関する本研究班ならではの研究成果に高めることができたらと願っています。(2013年5月6日)

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「免疫四次元空間ダイナミクス」研究班への参加に際して (e06)

田中 芳彦(九州大学生体防御医学研究所)

公募班員の九州大学生体防御医学研究所 田中芳彦と申します。私はMHC/ペプチドとT細胞受容体の相互作用に関する研究を起点として、T細胞と樹状細胞のシグナル伝達機構や免疫応答について研究を行ってきました。現在、T細胞の発生と胸腺の発育に必須であり、胸腺上皮細胞において重要な役割を担っている核内酵素に着目して解析を進めております。
オンラインニュースレター第一号を通して第一回領域班会議の様子を拝見して、計画班員、支援班員と総括班員の先生たちがこの研究班に期待される熱い想いがよく伝わって来ました。ストローマ細胞の機能に着目し免疫系の謎を解き明かすために集結したトップランナーの先生たちと交流できるチャンスを頂き、この研究班に参加できる喜びを感じております。この夏の班会議の後に企画されているサマースクールには研究室のメンバーとともに参加させていただくことにしており、とても楽しみにしております。ご指導よろしくお願い申し上げます。(2013年5月7日)

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熱く、活性化して (e07)

和田 はるか(北海道大学遺伝子病制御研究所免疫生物分野)

今回私たちは「多能性幹細胞を用いた新時代移植医療における新しい免疫寛容誘導法の開発」という研究テーマで領域に参加させていただくのですが、この研究テーマに巡り合うまでに2つの大きなきっかけがありました。このたびは自己紹介も兼ねまして、触れさせていただければと存じます。
一つ目のきっかけは、横浜理研の免疫発生研究チーム(河本研)にて学ばせていただいたことです。大学院修了後、もともと興味をもっていた分化研究を河本宏先生(現京都大学)、桂義元先生(京都大学名誉教授)のもとに学ばせていただき、研究全般について手ほどきを受けました。その中で、血液細胞の分化プログラムの基本概念に迫る壮大な研究テーマに取り組ませていただけました。右も左もわからない状態からのスタートでしたが、熱く、根気よく教えていただき、実際の実験手技だけでなく、細胞分化の世界観、ものの見方、考え方まで教わりました。そして基礎研究に取り組む中、いずれは研究成果を臨床応用という形で社会還元したいという思いも持っておりましたが、当時としては、されどなかなか難しいだろうなぁとも思っておりました。
そんな中、現所属研究室のボスでもある連携研究者の清野先生がPIとして独立される際、研究室に参加させていただくことができました。清野先生は以前、実際に移植医療に携わっていたということもあってか、ラボに集まる大学院生の中には現役の若手移植外科医もおります。“熱い”清野先生のもとに集まってきた“熱い”彼らとの出会いが二つ目のきっかけです。彼らから、優れた免疫抑制剤が存在する現在となってもなお移植臓器の免疫学的拒絶は重要な問題の一つであること、免疫抑制剤の使用による感染症の発症や腫瘍の新生など二次的な問題も決して小さくはないということを臨床現場からの生の声として聞き、移植医療の現状を現実味をもって知ることとなりました。
そんな折、自身の過去の研究のことを思い出しました。河本研時代に学んだことを更に発展させ、清野研で出会った熱い彼らとともに移植医療の問題点を克服できる可能性があるのは今しかない!と思い立ち、「多能性幹細胞を用いた新時代移植医療における新しい免疫寛容誘導法の開発」という研究が生まれました。
さらにこの度は「免疫四次元空間ダイナミクス」の班員に加えていただき研究を支援していただけるという大きな幸運にも恵まれました。各分野の最先端を走られている熱い先生方のもとに勉強させていただけること、研究を共にさせていただけるということは本当にありがたいことであり、感謝しております。私自身も、勉強させていただくだけでなく少しでも領域の発展に貢献できますよう、熱く活性化して、努力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(2013年5月8日)

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免疫系のはじまり? (e08)

澤 新一郎(東京大学大学院医学系研究科 免疫学)

小児科診療を行ってきた私にとって、生体防御反応としての免疫は常にリアリティイのある主題であった。小児科外来に来る患者の95%が何らかの感染症と言っても過言ではないだろう。新生児から思春期早期にかけて、ヒトは急激な体の変化を遂げる。免疫系もその例外ではない。本来無菌状態である胎児が子宮外に出されるや有象無象の微生物に溢れかえる環境に暴露され、免疫系を成熟させてゆく。この過程は、一見偶然に支配されている現象のように見えるが、長い進化の過程で培われてきた必然的な(プログラムされた)要素も強いのではないだろうか。リンパ節は適応免疫応答の場として重要なことが明白であるが、子宮内無菌環境下の胎児期に形成される。あたかも出生後の修羅を予見しているかのような事例である。免疫系のはじまりをもう少し詳しく調べてみたい。これが「免疫四次元空間ダイナミクス」に応募した理由である。(2013年5月10日)

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公募班員として参加して (e09)

生田 宏一(京都大学ウイルス研究所)

4月からこの新学術領域に公募班員として参加させて頂いています。私たちのグループは、IL-7レセプターの機能というリンパ球側の観点からながらく研究を進めてきました。しかし、その過程で生体内の各組織・各局所でのサイトカインの実効濃度すらほとんどわかっていないことに愕然とし、数年前から本格的にサイトカインを産生する免疫微小環境を研究し始めた次第です。まったくの素人の領域でしたので、この班の多くの班員の方々にもいろいろとご指導・ご支援をいただきながら、ようやくIL-7産生性ストローマ細胞の局在といくつかの局所機能を明らかにできたところです。また、ごく最近ではIL-15産生細胞の局在についても調べていまして、IL-7産生細胞とは異なる分布をしていることがわかりつつあります。産生するサイトカンの種類によって、ストローマ細胞もいくつかのサブセットに機能的分化しているようです。今後は、この班への参加をきっかけにして、さらに「四」次元目の観点を加えて研究を展開していきたいと考えています。引き続きご指導をよろしくお願い申し上げます。(2013年5月10日)

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免疫四次元空間で迷子にならないように (e10)

後飯塚 僚(東京理科大学 生命医科学研究所)

このたびは、公募班の一員として、「免疫四次元空間ダイナミクス」領域に参加させて頂けることになり、メールが回ってくるたびに、若手のサマースクールとか、素晴らしいイベント情報の数々に、「この班に入れてもらってよかったなあ」、と喜びに浸っているのも、つかの間、「5月10日まで待つので寄稿せよ」、という高浜領域代表の朝一番のメールが、寝ぼけた頭に、目覚まし代わりに、しかも顎にガツーンとクリーンヒットして、そのままリングにぶっ倒れて、10カウント聞きそうになっておりましたが、まだ、試合開始のゴングも鳴ってはないので、もう一回、ファイティングポーズを取り直して、せめて、4ラウンドくらいまではリングの上に立っていたい、と思っている次第です。もともと、切れのあるサウスポーでも、強烈な右フックがあるファイターでも、かといって、打たれ強いタフネスでも、足を使ったスウェーバックやヒット&アウェーができる技巧派でもなく、一発、まぐれ当たりのようなカウンターを狙うくらいしかできない4回戦ボクサーですが、本領域では、数あるリンパ器官の中でも、ある意味、秘境的存在である脾臓の微小環境を対象にして、その器官形成に必須の転写因子であるTlx1を発現する間葉系細胞に焦点を絞り、他組織の幹細胞解析で近年広く使用されているレポーター・細胞系譜追跡技術を応用して、脾臓間葉系細胞の起源、相互の関係性、成体組織の修復や再生における役割などについて、切り込んでいきたいと思っております。本領域には、ニッチ形成、イメージング、組織工学、数理モデルなど、四次元どころか、五次元、六次元レベルで最先端の研究を行っておられる先生が集結なさっておられるので、御助言・御協力を頂きながら、四次元空間で迷子にならないように、確実に、カウンターをヒットさせて行きたいと思っている所存であります。(2013年5月10日)

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迷子のための道しるべ (e11)

鈴木 敬一朗(京都大学医学研究科、AKプロジェクト)

この4月より公募班員として参加させて頂いております。私は消化器内科医としてキャリアを出発しましたが、初めの数年は「研究」という活動に自分が関わる様になるとは考えてもいませんでした。ましてや、診療を完全に離れて日々研究ばかりしている現在の状況が、改めて考えると奇妙な感じすら致します。その意味では、私は既に「四次元空間」で迷子になってしまった一人なのだとも思います。このような私にとりまして、自分の研究を少しでも医学応用が可能となる方向に傾けて行く、という事は大きなテーマになっております。(少なくともそのように考える事が精神安定剤的な役割を果たしています。) 「免疫四次元空間ダイナミクス」の領域には、これまでの研究から少しでも踏み出したい、また、自分のホームである医学領域に近づく為の道しるべにしたい、という思いで参加させて頂きました。実際の研究では、腸管の免疫システムがどのように全身組織での免疫恒常性に影響を与えているのか、という疑問について特にアレルギー反応に重要であるIgE産生制御の観点から取り組んで行きたいと考えております。「経口免疫寛容」の現象は100 年以上前から観察されて来ましたが、医学応用に関する試みはことごとく失敗しています。この原因の一つとして、腸内細菌の関与があまり考慮されて来なかった事があるのではないか、と感じており、そのような観点から少しでも新しい切り口の研究をする事ができると良いなと考えております。これから2年間大変お世話になりますけれども、ご指導の程何卒よろしくお願い申し上げます。(2013年5月13日)

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免疫四次元空間への参加にあたり (e12)

高田 健介(徳島大学疾患プロテオゲノム研究センター)

本年度から公募班員として参加させていただいています。「免疫四次元空間ダイナミクス」では、従来免疫学研究の中心であった血球系細胞から、場を構成する非血球系細胞(ストローマ細胞)に視点を移すことで、免疫システムの時空間的な理解を進展させることが大きな目標のひとつと理解しています。私は、米国留学中にT細胞のホメオスタシス研究に携わり、場あるいはストローマ細胞についての理解がいかに重要であるか、また、それらについて研究する術を自分が持っていない事のもどかしさを強く感じました。これがきっかけとなって、帰国後の現在の研究に結びついています。公募研究課題では、リンパ節のなかで、もっとも解析の進んでいない部位と思われるT細胞領域辺縁領域に着目し、それを構成するストローマ細胞の特性と機能を解明したいと考えています。血球系細胞側の要素としては、これまでの検討を基にメモリーT細胞に注目しています。ストローマ細胞は単純なFACS解析ひとつとっても、リンパ球と比べて扱いが格段に難しく、研究開始当初は大変苦労しました。それらの問題を解決する過程で、本新学術領域研究が立ち上げられる前から、何人かの現班員の先生方にはしばしばアドバイスをいただきました。今後は本領域研究の班会議やサマースクールなどを通してより濃密なディスカッションができればと思っています。ご指導よろしくお願い申し上げます。(2013年5月15日)