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オンラインニュースレター:2012年12月号

2012年12月号


班会議とオンラインニュースレターの発刊 (e01)

高濱 洋介(徳島大学疾患プロテオゲノム研究センター)

本新学術領域研究班の発足後、研究班運営という慣れない仕事に取り組みはじめ ております。多士済々の計画研究者各位はそれぞれ良質の研究を推進しておられ る方々ばかりですので、個別研究の推進という面では領域代表として今はどっし り構えていてよいと思っております。一方、班研究の要諦は「研究班を組織した ことでどのようなメリットが生じたか」が問われるという点です。その意味で、 班員の緊密な交流による「情報と視点の共有」は班研究に不可欠の基盤と位置づ けられます。また、それによって、個別研究では生じることのない新しい展開が 発信されていくことが期待されているのが班研究です。今回、本研究班発足後は じめて、班員各自が研究成果や研究計画をもちよって討論する「場」、班会議を 開催しました。また、それをふまえて今後の班運営について話し合う第2回総括 班会議を開きました。日常から離れ、開催中は論議と交流に没頭できるよう、ロ ケーションの設定や時間の使い方には工夫したつもりです。班会議の様子は下の 投稿やプログラムそしてスナップ写真にお目通しいただければと思いますが、刺 激に満ちた学術会議であったばかりでなく、班としてこれから積極的に取り組む べき課題のいくつかが明確にあぶりだされた会議でした。また、その観点から、 大いに成果があったと考えております。実際、それら課題のひとつとして、研究 班と社会のコミュニケーション強化ということが挙げられ、それをふまえた班活 動の一環として、このニュースレターの発刊に至った次第です。ニュースレター の発行にあたっては、スピードやコストに加えて社会へのオープン性や発信内容 の柔軟性などに鑑みて、紙媒体というよりも電子媒体としてのオンラインニュー スレターという形態をとってみることにしました。今後、本研究班のさまざまな 活動等について、このニュースレターを媒介のひとつとして活用していきたいと 思います。今後とも引き続き本研究班へのご支援ご指導よろしくお願い申し上げ ます。

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「免疫四次元空間ダイナミクス」第一回班会議に出席して (e02)

宮坂 昌之(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)

第一回班会議は11月16日(金)〜17日(土)、大阪湾や神戸の街を一望にできる「緑のオアシス」六甲山ホテルで行われた。初日は、紅葉が青空に映え、見事な秋の天気だったが、二日目は一転して激しい風と降雨となり、めまぐるしく変わる秋の気候の中で会議が行われた。初めに、研究代表者による研究発表の後、支援班研究者の発表に対して参加者全員により熱心な討論が行われた。2日目は研究分担者による研究発表があり、これまた活発な討論が行われた。中には班会議であればこそ出来るような発表者とフロア間のきびしいやりとりもあり、特に若手の参加者には非常に良い経験であったのではないかと思う。また、懇親会、二次会では、さらに突っ込んだ研究談義が行われ、これも合宿形式での班会議ならではのことであった。われわれの班では「免疫空間」の本態解明を大目標に掲げているが、これを世界に先駆けて実現するためには、お互いの独創的な研究とチーム間の切磋琢磨、さらには強い連携が必要であり、そのためにはこの会議が目標実現に向かっての良いスタートとなったのではないかと思う。開催場所、時期ともに、まさに当を得た高浜・領域代表の選択であった。

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「免疫四次元空間」第一回班会議に参加して (e03)

高木 淳一(大阪大学蛋白質研究所)

領域発足後初めての班会議であり、計画班員と支援班員、総括班員という、いわば「身内」だけの2日間であった。「身内」でしかも各自の興味の対象も非常に近いとくれば、ある意味で非常にリラックスした、悪く言えば仲間うちだけのゆるい会議になることも十分に考えられるわけだが、その期待(?)は見事に裏切られ、全体として極めて緊張感に満ちた会議であった。そうなった理由はたくさんある。一つには、新学術領域研究というものに要求される、個別研究成果以上のファクター(新しい学術領域の開拓や融合研究の推進、若手育成といった側面)をどうしたらクリアできるのか、外部からのきびしい評価に耐えることができるのか、という問題意識が領域代表だけでなく各班員に広く共有されていたからだと思う。領域運営の先輩として参加された河本先生の時に厳しい突っ込みも、我々にいやが上にもこの点についてのさらなる自覚を促す効果があった。2番目に、個々の発表者のサイエンスがどれも最新の知見に満ちた盛りだくさんなものであり、聴く側が集中していないとついていけなくなるレベルのものだったということもある。そして3番目に、免疫研究一辺倒に見られがちなこの領域で、実際には極めて広い範囲のサイエンスやアプローチをカバーしていて、非常に刺激的であったせいもあると思う。かくいう私は、構造生物学というアプローチを免疫系の接着分子やシグナル受容体に応用する研究課題をおこなうメンバーであり、その研究内容や手法には他の班員には聞き慣れないものとして新鮮なおもしろさを感じていただけたのではないかと思っている。その一方で、自分にとっては最先端の免疫研究者による発表になんとか付いていこうと必死の2日間であった。二日目に六甲山をおそった大嵐のおかげでせっかくの紅葉シーズンの観光地をたのしむことは出来なかったが、これからの課題ややりたいことで頭をいっぱいにしながら山を降りた。

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第一回領域班会議に参加して (e04)

片貝 智哉(関西医科大学生命医学研究所 分子遺伝学部門)

11月16、17日の2日間、港街神戸に隣接しながらも都会の喧噪から隔絶され、自然あふれる六甲山のすばらしいロケーションにて、新学術領域研究「免疫四次元空間ダイナミクス」第一回領域班会議が行なわれました。計画班員ならびに総括・支援班員が一堂に会し、本領域の主眼である免疫の「場」とその時空間動態という観点から最新の成果や今後の計画に関する発表がおこなわれ、各班員が培ってきた経験や蓄積をベースにこの重要な問題に取り組む意気込みと熱意を語りました。私の第一印象は、これまでに我が国において「免疫組織環境」というテーマをこれほど意識して議論がなされた機会はなかったのではないかということです。一方で、多次元で複雑な問題が山積するなか、さまざまな視点と方法論をもって取り組んでいく必要があることを痛感させられました。若手に対しては領域からの大きな期待と激励があり、私自身は一層身の引き締まる思いとともに、この研究班に参加できる喜びを改めて実感しております。初日は懇親会終了後も高濱領域長の宿所に多人数が集結し、夜遅くまで熱く濃密な(内容もさることながら人口密度と言う意味でも)議論を満喫しました。非常に刺激のある有意義な班会議であったと思います。今後はさらに公募班員の方々や多くの若手研究者が加わり、本領域が一層活気づいていくのではないかと期待しています。

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第一回班会議に参加して (e05)

佐々木 尚子(大阪大学大学院医学系研究科・免疫制御学)

神戸・六甲山ホテルで行われた第一回班会議に参加させていただきました。会議では激しい討論に圧倒されましたが、他の班員の方々の成果を聞くことで、自分の意識も鼓舞されました。これまでは、とにかく実験をこなすだけで精いっぱいでしたが、少し立ち止まって自分たちの研究を見直す良い機会になりました。また、懇親会でも議論に熱中するあまり、美しい神戸の夜景を一度も見ることなく、班会議は終了しました。
班会議は参加したらそれで終わりではありません。研究がうまくいかないときに、技術や材料を提供し合えるような、研究者同士の交流も大切にしていきたいと思っています。実際に私たちのグループも多くのアドバイスをいただきました。また、自分の分野だけに偏らない多くの仲間に出会えたことが、大きな収穫となりました。次回の班会議では、自分の研究成果が発表されることを目標に、研究を進めていきたいと思います。

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免疫四次元ダイナミクス第一回班会議の感想 (e06)

鈴木 慶(大阪大学蛋白質研究所分子創製学研究室)

私は、これまであまり免疫について勉強する機会がなかったので、今回は勉強も兼ねて参加させて頂きました。班会議では、この分野の最前線で活躍しておられる先生方のお話を聞く事ができ、この分野にあまり親しみのなかった自分にもこれから取り組んでいかねばならない問題の輪郭がようやく見えてきた気がしました。また、参加されている先生方の顔ぶれも非常に多彩で、今後これらがどのように組み合わさっていくのか考えるだけでとてもわくわくします。それぞれの発表内では、先生方の活発な意見交換が繰り広げられ、その勢いにただただ圧倒されてしまいました。夕食時には、先ほどまで熱く議論を交わしていた先生方が打って変わって和やかに語らう姿に、一つの大きな目標に向けて共に戦っていく研究班としてのまとまりを感じました。
日程の上では、一日目の午後から二日目の午前までという実質一日の短い時間でしたが、実際に参加してみると非常に中身の濃い有意義な時間を過ごすことが出来たと思います。今回の班会議では、これから自分たちが取り組んでいく研究課題を改めて見つめ直すとともに、研究班という大きな枠の中での自分たちの役割というものを考えさせらました。自分もこの研究班の一員として、今後自分たちの強みを生かした研究でこの研究課題に果敢に挑戦していきたいと思います。

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第1回の班会議では大変お世話になりました。 (e07)

中村 真人(富山大学 工学部生命工学科)

今回、初めて、この研究チームの活動に参加させていただきました。

未知なる免疫現象に対して、
免疫学の深い知識と思考をベースにした研究計画と、
それに対しての深いディスカッションが行われ、
さらにそこに最新鋭の技術も加わって、
まさにこの研究班の活動で新しい時代の免疫学が拓かれていくだろうことを実感いたしました。

自分の培ってきた技術と知識と経験をこの新学術領域に役立てるとともに、
メンバーの先生方からの新たな発想とアイディアをいただいて、
自らの技術をより発展させながら
新しい時代を拓くチームの一助となれば幸いです。

『空間と時間を征服できれば時代が変わる。』
ですね!

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新学術領域第一回領域会議に思う事 (e08)

河本 宏(京都大学 再生医科学研究所)

この新学術領域には総括班員として参加させて頂いてます。今回の領域会議は、総括班からは私の他に石川文彦先生(理研RCAI)、石井優先生(大阪大学)、中村真人先生(富山大学)が参加しました。
この班のテーマは、私の理解では、「支持細胞(ストローマ細胞)の機能」という視点から免疫系の発生、機能分化、応答の機序を解明しようとするものだと思います。ストローマ細胞の研究自体は、骨髄、胸腺、リンパ組織などについては、それぞれ異なる研究領域で長い歴史があり、各々が研究分野として確立されています。しかし、ストローマ細胞を主軸としていろいろな分野の研究を横断的にまとめた今回のような研究領域は、これまで無かったのではないかと思います。そういう意味で、まさに新学術領域の名にふさわしい研究テーマだと言えそうです。
今回の会議では、計画研究の代表者と、数人の研究分担者による発表がありました。それぞれの発表内容は学術的に非常にレベルが高く、すばらしいものばかりでした。発生学的な視点の研究から、免疫応答の機序、免疫の破綻によって起こる病気の病態生理の話まで、バランスよく配置されていて、免疫系の統合的理解に向けての布陣としては、とてもよく構成されていると思われました。
私の研究室では、造血前駆細胞の系列決定の過程のメカニズムを主な研究課題としていますが、系列決定に環境がどう影響を及ぼすかという課題も研究しており、今回もそのような研究内容について少し話をさせて頂きました。今後も、意見交換、情報交換を通じて、本領域の研究の発展に少しでも貢献できればと思います。とはいえ実際には、貢献するというよりも、勉強させて頂く部分の方がずっと大きいとは思います。
一点、問題提起をしておきます。こういうメンバーが集まったことにより、discussionも深まり、知識や手技の共有も進むでしょう。また共同研究も自然発生的にたくさん生じるだろうと思われます。ただし、新学術領域という研究組織において期待されるのは、そういう散発的な効果ではなく、この領域ができたからこその新機軸が形成されることだろうと思います。そういう観点でみれば、今回の発表で語られたそれぞれの計画研究の将来計画には、新しい潮流へと発展しそうなアイデアは、まだあまり見られなかったように思えました。例えば本領域の課題のひとつとしてあげられている「内分泌系や神経系などの高次生体システムと免疫系とのインターフェースの理解」について、もう少し具体的なアイデアがあってもよかったかなと思います。来年度から参加する公募研究に期待できるのかもしれませんが、継続性を考えた場合、計画研究の中で何らかの方向性が打ち出されてもいいのではないかと思いました。私自身も、この領域の総括班員として、計画研究や来年度から加わる公募研究の関係者の方々とともに、今後も議論を深めていければと思います。
今後ともどうかよろしくお願いします。

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タイムキーパーを務めて (e09)

笠井 道之(徳島大学疾患プロテオゲノム研究センター)

よく晴れて、紅葉のみならず、小鳥たちをも上から見下すことのできる六甲山ホテルで免疫四次元空間ダイナミックス班会議はスタートした。会議は代表の高浜先生の挨拶からはじまり、研究代表者の先生がた、支援班研究者、研究分担者の順で発表が行われた。
さて、私はこの班会議のタイムキーパーを務めたが、まずその役目をあらためて自分自身に説いてみた。この班会議に参加される先生方はいずれも免疫反応の場である微小環境の形成・連携・再構築に関与する細胞の機能とその機能を担うタンパク質について時間軸を含む四次元で、最先端の解析を行っている先生方なので、発表や質問がヒートアップすることは目に見えている。そうならば、発表や質問途中の水を差す無粋なベルは禁物である。たかがタイムキーパーという向きもあるが、されどタイムキーパーであり、班会議の円滑かつ活発な運営の一端を握っていると再認識して臨んだ。班会議前には、もう一度生化学(Vol.84, No.3, 2012)などを読み返し、先生方の発表にあまり深く聞き入らないように注意をはらったつもりでいたが、それでもつい聞き入ってしまうことが度々あり、特に残り五分を知らせるためのベルが2~3分遅れてしまった。タイムキーパーの本来の務めを忠実に果たすことができなかった件につきましてはこの場を借りて深くお詫び申し上げます。しかし、その理由をあらためて考えてみると、単に各先生方の語る研究の学問的興味の深さに引き込まれただけでなく、様々な研究分野の先生たちがわざわざ集まりこの班を形成し、互いに連携し合い、新たなパラダイムを構築することの意義を語る、あるいは問いかけるということを含む発表や質問に引き込まれ、感じ入るものがあったからである。この感覚はかつて大学院生時代に初めて班会議に参加したときの感覚と共通するものがあり、本当に新しい学術領域が生まれつつあるということを感じざるを得なかった。

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免疫四次元空間ダイナミクス 班会議に出席して (e10)

三井 優輔(自然科学研究機構・岡崎統合バイオサイエンスエンター)

これまで私は免疫学になじみがありませんでしたが、今回班会議に出席させていただいたことは刺激的ですばらしい機会だったと感じています。そもそも、「班会議」というものに出席すること自体、私にとっては初めてだったのですが、通常の学会では見られないような、参加された先生方同士の熱い議論に圧倒されました。私が研究している発生学の分野では近年、定量的なアプローチが注目されていますが、FACSなどを多用する免疫学は、定量的な方法論が確立されており、学ぶべきことが多いと感じました。残念ながら今回は内容を十分消化できなかったところも多かったので、免疫学の教科書を手に入れて、次回の班会議までに勉強しておこうと思います。しかし素人なりに、演者の先生方のサイエンスには衝撃的とも言えるような強い印象を受けました。
そして夜の懇親会の時には昼間とは打って変わって、飲みながら楽しく、深い議論になり、勉強になりました。また二日目は嵐に見舞われたものの、初日は天気も良く、会場となった六甲山ホテルにいくまでにすばらしい紅葉を目にしながらの山道はとても楽しかったです。
これからこの領域において、未だ謎が多い分泌性蛋白質の挙動の普遍的理解を進めることで、貢献していければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

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平成24年度新学術領域研究「免疫四次元空間ダイナミクス」第1回班会議

日時 平成24年11月16日(金) 〜17日(土)
場所 六甲山ホテル (神戸市灘区六甲山町南六甲1034)


11月16日(金)

13:00 開会の辞:高浜洋介

A01研究代表者  座長:長澤丘司
13:15-13:45 高田慎治 (自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンタ―)
13:45-14:15 長澤丘司 (京都大学再生医科学研究所)
14:15-14:45 高浜洋介 (徳島大学疾患プロテオゲノム研究センター)
14:45-15:15 宮坂昌之 (大阪大学免疫学フロンティア研究センター)

 休憩(コーヒー)

A02-03研究代表者  座長:福井宣規
15:45-16:15 高木淳一 (大阪大学蛋白質研究所)
16:15-16:45 福井宣規 (九州大学生体防御医学研究所)
16:45-17:15 湊 長博 (京都大学大学院医学研究科)
17:15-17:45 渡邊 武 (京都大学大学院医学研究科)

 休憩(コーヒー)

支援班研究者  座長:高木淳一
18:00-18:20 石井 優 (大阪大学免疫学フロンティア研究センター)
18:20-18:40 石川文彦 (理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター)
18:40-19:00 中村真人 (富山大学大学院理工学研究部)

19:00 懇談会


11月17日(土)

研究分担者  座長:渡邊 武
10:00-10:15 大久保直 (北里大学医学部)
10:15-10:30 梅本英司 (大阪大学医学系研究科)
10:30-10:45 片貝智哉 (関西医科大学医学部)
10:45-11:00 戸村道夫 (京都大学大学院医学研究科)

 休憩(コーヒー)

総括班研究者  座長:湊 長博
11:15-11:45 河本 宏 (京都大学再生医科学研究所)

総括班会議
12:00-13:00 第2回総括班会議

13:00- 自由討論