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領域概要
免疫細胞の分化と免疫応答は、全身に配置された多様なリンパ器官を主な「場」とし、これらの場が血液系細胞等を介した高次の機能的ネットワークを形成することではじめて成立するダイナミックな事象である。
本研究は、免疫学に加え、発生生物学、構造生物学、血液学など多様な背景から際立った成果を挙げてきた研究者が結集し、従来の免疫学研究では未解明であった「場」を含めた「免疫空間」の四次元的な形成・連携・攪乱の機構解明と再構築をめざす。
本研究の推進により、血液系細胞を主な対象とする従来の免疫学研究に、「免疫の場」を構築するストローマ細胞を主な研究対象とする新しい取り組みが加わることで、免疫システムの四次元で動的な本質の解明が大きく前進する。また、免疫空間の人工的再構築による疾患制御の技術基盤が整備される。更に、免疫系と内分泌系や神経系など高次制御システム間の動的な統合による全身恒常性調節機構の解明につながる。
本研究は、血液系細胞から免疫の場に視点を移し、動的で四次元にわたる「免疫空間」全体の形成・連携・攪乱の機構解明と再構築をめざす。この目的で、免疫学に加え、発生生物学、構造生物学、血液学など多様な背景の研究者による新たな視点と手法の共有による研究の飛躍的推進を図ることで、免疫システム研究の新たな展開をめざす。同時に、領域研究の主体が個々の独立した研究者による研究活動であることを十分に認識し、本領域の研究課題に直接関係した領域で独創的で国際的に高い水準の研究を推進してきている研究者が、連携を図りつつ各々独自のアプローチにて研究を推進することを基本とする。この基本に鑑みて本研究では、次の3項目による研究を設定する。
(A01) 免疫空間の形成と機能
免疫空間の形成と機能について研究を推進する項目A01では、リンパ器官形成の分子機構とその制御を基盤に、骨髄ニッチ、胸腺微小環境、二次リンパ組織(リンパ節と脾臓)に焦点を当て、それぞれの「場」を担うストローマ細胞の性状と機能の解明を図る。
(A02) 免疫空間の連携と動態
免疫空間の連携と動態について研究を推進する項目A02では、タンパク質機能の構造生物学的解析と細胞動態の体内イメージングの先導的技術を駆使することで、明確な分子構造と時空間の測定による「場」の理解を図り、それに基づいたリンパ器官インターフェースの機能基盤とリンパ器官の連携による免疫応答動態の解明をめざす。
(A03) 免疫空間の攪乱と再構築
免疫空間の攪乱と再構築について研究を推進する項目A03では、老化と病的攪乱によるリンパ器官の変容の理解を進め、組織工学技術を用いた免疫器官の再構築さらにそれによる免疫空間の機能的ネットワークの解明をめざす。
発足に至るまで
- 2010年
- 領域計画検討開始
- 2011年
- 領域計画書提出
- 2012年
- 3月 6日 ヒアリング対象選定通知
3月22日 研究計画調書提出
4月〜5月 ヒアリング対策会議
5月21日 ヒアリング
6月28日 新学術領域「免疫四次元空間ダイナミクス」採択内定
関連学術集会開催
- 2003年
- 日本免疫学会国際シンポジウム「Organogenesis of lymphoid tissues」
- 2007年
- 日本免疫学会国際シンポジウム「Niches for lymphocyte development」
- 2009年
- 日本免疫学会国際シンポジウム「T cell repertoire formation」
- 2007年
- 特定領域研究(渡邊班)国際シンポジウムセッション
「Spatial and temporal organization of immune surveillance system」 - 2008年
- 特定領域研究(湊班)国際シンポジウムセッション「Formation of immunological self」
- 2012年
- 特定領域研究(湊班)国際シンポジウムセッション「Thymus development and self-recognition」
- 2012年
- 米国免疫学会メジャーシンポジウム「Stromal cells for immune cell development and function」
関連研究組織設立
関連出版