計画研究概要

免疫組織の新規構築による疾患制御のための技術開発

研究代表者：公益財団法人田附興風会医学研究所/北野病院　渡邊 武
研究分担者：理化学研究所統合生命医科学研究センター　石川 文彦

リンパ組織特異的ストローマ細胞とその環境因子を解明し、その情報をもとに高い免疫誘導能を有し、かつヒトに適応出来る人工免疫組織の新規構築法を確立する（渡邊）。また、「ヒト免疫微小環境を有する新規免疫不全マウス」の創出を行う（石川）。１）免疫組織（リンパ節、脾臓）の人工的再構築に必要充分なストローマ細胞発現分子の同定、２）人工免疫組織の形成と維持に適した生体適合高分子基材の開発、３）無細胞系でのマウスリンパ節の人工的構築を行い、抗原特異的免疫反応を誘導する、４）ヒトリンパ組織特異的ストローマ細胞を確立し、ヒト末梢リンパ球と混合して、in vitro或いは免疫不全マウス腎皮膜下に移植しヒト免疫臓器を人工的に構築する。ヒト免疫細胞相互作用や抗原特異的免疫反応の解析を行う、５）新規免疫不全マウスで作成されたヒト化マウスに上記（３）のストローマ細胞と基材を移入して、移植可能かつ強い免疫反応を惹起するヒト型人工リンパ節を構築する。６）ヒトIL-6などヒトのサイトカインを発現する免疫不全マウスを作製し、ヒトB細胞の成熟に対するIL-6の影響、ヒトミエロイド系細胞の分化・成熟IL-6誘導性慢性炎症の解析を行う。７）最終的には、ヒト免疫反応の四次元的解析への新たなツールの提供、さらに癌、加齢に伴う免疫系の変調の修復、感染症に対する免疫系の強化、自己免疫疾患の改善などへの人工免疫組織の応用に向けた基礎的検討を行う。