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計画研究概要

骨髄ニッチによる免疫担当細胞の維持機構

大阪大学大学院生命機能研究科/医学系研究科 長澤 丘司

すべての免疫担当細胞は、骨髄で造血幹細胞から産生されるため、骨髄は免疫四次元空間の形成の中枢臓器である。造血幹細胞や免疫担当細胞の細胞数は、健康時には一定に保たれ、炎症や喪失により増殖が促進されるが、一定の細胞数に達すると増殖が停止する。したがって、骨髄造血は組織の恒常性が維持されるしくみを解明するための最良のモデルの一つであるがその機構は明らかでない。その鍵を握るのが、造血を制御するニッチ(niche)と呼ばれる特別な微小環境(場)であろうと考えられてきたがニッチの本態は長年不明であった。私たちは、造血幹細胞の維持や免疫担当細胞の産生に必須のケモカインCXCL12 (別名SDF-1, PBSF)(5, 4) を高発現し突起を持ったCAR細胞を骨髄で同定し (4, 3)、最近、CAR細胞が脂肪・骨芽細胞前駆細胞であり、造血幹細胞・前駆細胞に必須のニッチ細胞であることを証明した (1-3)。そこで本研究では、骨髄とCAR細胞に注目して、免疫担当細胞数の恒常性が維持される機構の解明に挑む。具体的には(イ)健常時と免疫担当細胞の再生過程でCAR細胞での発現が変化する未知の分子の検索と機能解析、(ロ)造血幹細胞・前駆細胞、免疫担当細胞の動きとCAR細胞との相互作用の解析を軸に骨髄でのニッチ細胞による免疫システム形成のダイナミズムを明らかにしたい。