HOME > 組織と研究者 > 公募研究概要「T細胞レパートリー形成におけるプロテアソームの役割」

公募研究概要

T細胞レパートリー形成におけるプロテアソームの役割

研究代表者:北海道大学大学院医学研究科 笠原 正典
連携研究者:北海道大学大学院医学研究科 外丸 詩野

構成型ならびに免疫プロテアソームがCD8+ T細胞のレパートリー形成に関与している可能性は以前から推定されていたが、胸腺皮質に限局して存在する胸腺プロテアソームが発見されてから、プロテアソームの胸腺選択における役割は俄然注目を集めることとなった。研究代表者らはこれまでに、1)ヒトにおいてもマウスと同様の構造と機能を有する胸腺プロテアソームが存在すること、2)β5tサブユニットを全身性に高発現するトランスジェニックマウスでは顕著な成長遅延,老化症状等が認められること、3)β5tサブユニットの発現の有無が胸腺上皮腫瘍の鑑別・分類に有用であることなどを明らかにしてきた。本研究計画では、β5tトランスジェニックマウス、ノックアウトマウスなどの遺伝子改変マウスを用いてCD8+ T細胞レパートリー形成におけるプロテアソームの役割を解明するとともに、同サブユニットのヒト疾患への関与について検討する。


研究計画に挙げたプロテアソーム遺伝子改変マウスを用いた解析に関しては、皮質と髄質のいずれでもβ5tを発現するマウスにおいて顕著なCD8+ T細胞の減少を認めた。胸腺細胞選択の過程ではβ5tの皮質における発現が重要であるが、それに加え、皮質と髄質で異なったβ5tファミリーサブユニットが発現することも重要であることを明らかにした。本研究成果に関しては、現在論文投稿準備中である。また、ヒト疾患とのβ5tの関連性に関しては、臨床的に細胞性免疫の低下が問題となることがしばしば経験されるDown症候群の胸腺の解析を行った。その結果、Down症候群の胸腺では顕著な萎縮を認める症例が多いこと、萎縮胸腺ではβ5tの発現が低下していることを明らかにした。

研究代表者:笠原 正典
研究室HP

連携研究者:外丸 詩野