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公募研究概要

加齢に伴う二次リンパ組織内細胞間相互作用の変容による疾患発症の分子機構解明

研究代表者:熊本大学大学院生命科学研究部 分子遺伝学分野 門松 毅
連携研究者:熊本大学大学院生命科学研究部 分子遺伝学分野 尾池 雄一

免疫系では、加齢に伴い獲得免疫機能の低下や炎症反応の遷延化が認められる。これは、加齢に伴うナイーブCD4+ T細胞減少とメモリーCD4+ T細胞増加、一部の老化したメモリーCD4+ T細胞による炎症性サイトカインなどの液性因子の過剰産生能(SASP: senescence-associated secretory phenotype)の獲得に起因すると考えられる。
我々はアンジオポエチン様因子(ANGPTL)ファミリー分子の1つであるANGPTL2が血管新生制御や炎症制御に関わること、加齢や生活習慣に起因するストレスによってANGPTL2の分泌が増加し、その結果として慢性炎症が惹起されることで、生活習慣病やがんの発症・進展に関わることを明らかにした。さらに最近、我々は、加齢に伴い増加するメモリーCD4+ T細胞がANGPTL2を豊富に発現することを見出し、ANGPTL2と免疫老化との関連が示唆された。ANGPTL2は、インテグリンα5β1を介して血管新生制御や炎症制御に関わることに加え、最近、ANGPTL2の受容体としてB細胞や骨髄系細胞などに発現するLILRB2が同定され、LILRB2を介したANGPTL2シグナルが造血幹細胞や白血病幹細胞の分化制御、幹細胞性維持に関わることが報告された。ANGPTL2の受容体であるLILRB2はB細胞や骨髄系細胞に発現し、一方、インテグリンα5β1はT細胞や骨髄系細胞に加え内皮細胞などのストローマ細胞にも発現することから、ANGPTL2シグナルを介したこれらの細胞間相互作用の可能性が示唆される。
本研究では、ANGPTL2シグナルを介した免疫細胞とストローマ細胞の細胞間相互作用に加え、免疫老化やこれに伴う疾患発症の分子機構をその細胞間相互作用の観点から明らかにすることを目的とする。

研究室HP
研究代表者:門松 毅


連携研究者:尾池 雄一