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公募研究概要

Fat-associated lymphoid clusterの発生と機能解析

研究代表者:理化学研究所統合生命医科学研究センター 茂呂 和世
連携研究者:東海大学医学部 穂積 勝人

Fat-associated lymphoid cluster(FALC)は脂肪組織に存在する、リンパ節とは異なる小さなリンパ組織である。周囲を皮膜で覆われるリンパ節とは異なり、FALC内の細胞は直接周囲の脂肪細胞と接しており、リンパ節で見られる濾胞や肺中心はFALCには観察されない。FALCはT細胞、B細胞、制御性T細胞、樹状細胞、マクロファージなど、多様な免疫細胞で構成されるが、リンパ球の約30%は自然リンパ球であるGroup 2 Innate lymphoid cells (ILC2s)が占める。ILC2sはアレルギーや寄生虫感染時に発現が上昇するIL-25やIL-33に反応することで多量の2型サイトカイン(IL-5、IL-6、IL-13など)を産生する細胞であるが、定常状態でも恒常的に2型サイトカインを産生することが知られており、肥満や脂肪組織炎症に関与することが示唆されている。FALCの役割は未だ明らかになっていないが、加齢と共に数、容積共に増すことが分かっていることから加齢性疾患への関与が考えられる。
 本研究では@FALCの発生メカニズム(FALCがいつどのようにしてできてくるのか)、AFALCの機能(何のためにFALCが存在するのか)、を明らかにすると共に、BFALCがILC2sの最終分化の場として関与する可能性を探る。FALCの存在は生体にとって有利なのか?または何らかの疾患の発症に関わる、もしくは何らかの疾患の結果FALCが形成されるのか?を考えることで、マウスだけでなくヒトでも頻繁に観察されるこの小さなリンパ組織の正体を明らかにしたい。


左:腸間膜脂肪組織に存在するFALC(HE染色)
右:FALCに存在するILC2sとT細胞

研究室HP1
研究室HP2
研究代表者:茂呂 和世


連携研究者:穂積 勝人