HOME > 組織と研究者 > 公募研究概要「蛍光生体イメージング技術による免疫細胞の骨吸収制御機構の解明」
公募研究概要
蛍光生体イメージング技術による免疫細胞の骨吸収制御機構の解明
大阪大学 大学院医学系研究科 免疫細胞生物学 菊田 順一
蛍光生体イメージング技術による免疫細胞の骨吸収制御機構の解明
生体内において、多種多様な免疫細胞が適切な場所に適切なタイミングで移動・遊走し、活動拠点を正確に定めることで多彩な免疫機能が維持されている。このような精緻に制御された免疫システムの本質を理解するためには、“生きた”組織の中で“生きた”細胞を観察し、「各々の細胞がいつどこで何をしているのか」という時空間的な挙動を明らかにすることが大変重要である。
私たちはこれまで、二光子励起顕微鏡を駆使して、個体を生かしたまま骨組織内における細胞動態をリアルタイムで観察することに成功してきた。特に、骨表面上での“生きた”破骨細胞による骨破壊過程をリアルタイムで可視化することに成功し、破骨細胞の骨吸収がヘルパーT細胞のサブセットの一つであるTh17細胞によって動的に制御されていることを明らかにした1)。
本研究では、“骨の蛍光生体イメージング技術”をさらに発展させ、生理的な骨髄環境を保持したまま骨髄腔内の細胞間クロストークの現場を四次元で可視化し、標的細胞における多彩な遺伝子発現変化を1細胞レベルで網羅的かつ定量的に解析する新たな方法論を構築する。さらに、確立した実験系を用いて、Th17細胞と破骨細胞の細胞間クロストークによる骨吸収制御メカニズムの実体的な解明を目指す。
- Kikuta J, Wada Y, Kowada T, Wang Z, Sun-Wada GH, Nishiyama I, Mizukami S, Maiya N, Yasuda H, Kumanogoh A, Kikuchi K, Germain RN, Ishii M.
Dynamic visualization of RANKL and Th17-mediated osteoclast function.
J Clin Invest, 123(2):866-73, 2013. - Kikuta J, Kawamura S, Okiji F, Shirazaki M, Sakai S, Saito H, Ishii M.
Sphingosine-1- phosphate-mediated osteoclast precursor monocyte migration is a critical point of control in antibone-resorptive action of active vitamin D.
Proc Natl Acad Sci USA, 110(17):7009-13, 2013. - Kotani M, Kikuta J, Klauschen F, Chino T, Kobayashi Y, Yasuda H, Tamai K, Miyawaki A, Kanagawa O, Tomura M, Ishii M.
Systemic circulation and bone recruitment of osteoclast precursors tracked by using fluorescent imaging techniques.
J Immunol, 190(2):605-12, 2013. - Kowada T, Kikuta J, Kubo A, Ishii M, Maeda H, Mizukami S, Kikuchi K.
In vivo fluorescence imaging of bone-resorbing osteoclasts.
J Am Chem Soc, 33(44):17772-17776, 2011. - Ishii M, Kikuta J, Shimazu Y, Meier-Schellersheim M, Germain RN.
Chemorepulsion by blood S1P regulates osteoclast precursor mobilization and bone remodeling in vivo.
J Exp Med, 207(13):2793-2798, 2010.