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公募研究概要

免疫の『場』を形成する新たなストローマ細胞としての破骨細胞の機能解明

大阪大学免疫学フロンティア研究センター 竹ヶ原 宜子

骨髄は免疫細胞の分化に必須の免疫器官であり、骨を形作る骨代謝細胞(骨基質を形成する骨芽細胞と、骨基質を吸収する破骨細胞)がその形成を担っている。骨代謝細胞は組織学的に造血幹細胞や免疫系細胞と同じ空間に存在することから、骨髄の形成のみならず、造血幹細胞や免疫系細胞との接着を介した免疫への関与が推測されている。しかしながら、骨代謝細胞による免疫の制御、すなわち『骨』⇒『免疫』の実態はいまだ明らかではない。このような中、骨髄において破骨細胞が細胞接着を介して多発性骨髄腫の生存・増殖および骨髄内への保持を担うことが報告されている。これらの報告は、骨代謝細胞の中でも破骨細胞が免疫系細胞を維持するストローマ細胞としての機能を有することを示唆している。 本研究では免疫の『場』を形成するストローマ細胞として破骨細胞に注目し、破骨細胞と免疫系細胞の接着の動態、さらにそれに伴う免疫系細胞の分化・活性化の変動を時空間的に明らかにすることにより、骨による免疫応答の制御の実態を明らかにする。本研究によりこれまで報告されている骨芽脂肪前駆細胞(CAR細胞)や血管内皮細胞といった細胞に加えて破骨細胞が骨髄ストローマ細胞として明らかとなれば、免疫の場を形成する新たなストローマ細胞が明らかとなる。免疫応答と骨代謝という異なるシステム間の連携、さらにその制御機構の分子レベルでの解明と共に、免疫応答の時空間的制御機構の理解への貢献を目指す。