月別アーカイブ: 2015年8月

高浜洋介

 

オンラインニュースレター第7号

オンラインニュースレター第7号を刊行いたしました。第6号に引き続いて今年度から新たに参加された班員からの寄稿をいただくとともに、7月に開催された班会議やサマースクールに参加された多数の班員と班員ラボの若手研究者に書いていただきました。ご協力いただいたみなさま、まことにありがとうございました。

今回はとりわけ、計画研究班員の長澤博士から、「特に若い研究者の皆さんには、焦らず、慎重な研究を進める中での大きな本物の発見を狙ってほしい」、また、「評価する立場の方も、そのような研究を見抜き、短期的成果がなくても我慢して応援してほしい」、との大切な内容の投稿があり、大いにうなずいた次第です。

オンラインニュースレターは、全体をとおして本領域活動の一端をうかがうことのできる内容です。ぜひ一度は目を通していただければ幸いです。

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高浜洋介

 

正の選択とは何か

骨髄などの一次造血器官で産生されたTリンパ球前駆細胞は、胸腺皮質微小環境へと移住することでDLL4やIL7のシグナルを得、抗原受容体TCRを発現する幼若Tリンパ球へと分化する。新生された幼若Tリンパ球は核内でのV(D)J組換えによって、1個1個それぞれ異なる認識特異性の抗原受容体を発現する。それゆえTリンパ球にとって胸腺皮質とは、はじめてその抗原受容体による認識を経験する「場」であり、胸腺皮質における主要な抗原提示細胞たる胸腺皮質上皮細胞とその発現するペプチドMHC複合体こそが、Tリンパ球にとって抗原認識初体験の相手だといえる。

この認識初体験における相互作用親和性がTリンパ球の運命を大きく左右することはよく知られている。親和性が全然ないか低すぎる場合は認識に能わぬ無用なTリンパ球として更なる細胞生存を許されず、親和性が一定の閾値以上に高い場合には自己反応性の有害なTリンパ球として細胞分化コースから積極的に排除される。一方で、親和性が中庸な場合には、自己MHCに会合した未だ見ぬ外来抗原に反応する有用Tリンパ球になりえる細胞として生存を許され、成熟Tリンパ球への分化可能性を秘めつつ胸腺髄質へと移動していく。

このように胸腺皮質での、中庸親和性Tリンパ球に限定された生存保証プロセスは「正の選択」とよばれ、MHC拘束特異性の獲得における発見から40年、免疫システム形成の中核メカニズムのひとつとして広く知られるようになってきた。しかし「負の選択」における自己反応性Tリンパ球のアポトーシスによる排除といった比較的わかりやすいメカニズムとコンセプトとは異なり、「正の選択」というプロセスが免疫細胞の分化そして免疫システムの形成にとっていったいどのようなものなのか、そのメカニズムもコンセプトもこれまで今ひとつ明確ではなかったのが実状である。

この度、本研究領域における研究によって私たちは、CD8T細胞が外来抗原に対して有効に応答できる能力を獲得するには、胸腺上皮細胞に発現される胸腺プロテアソームに依存してひきおこされる「正の選択」が不可欠であることを見出した。胸腺プロテアソーム依存性に胸腺上皮細胞に発現される自己ペプチドは、抗原受容体との相互作用において適度な親和性を提供して中庸親和性をもつCD8T細胞を「選別」するだけではなく、「正の選択」によって「選別」されるTリンパ球の機能を「至適化=教育」することが明らかになった。

これまで「正の選択」とは、有用な認識特異性をもったTリンパ球だけを選別するプロセスとして考えられてきたが、「正の選択」プロセスが個々のTリンパ球の機能を至適化(fine-tuning)することで免疫システムの機能形成に寄与することは、本研究ではじめて明らかにされた。これまで免疫学の大きな謎であった「Tリンパ球の正の選択」について、本質的なメカニズムの一端が解明され新たなコンセプトが提示されたことで、免疫システムの根幹的な理解に大きな進展がもたらされた研究成果だと考えている。

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昨日づけで公開された論文へはこちらからアクセスいただける。上は掲載雑誌の現時点でのトップページ。論文を紹介するデザインとして図1aフローサイトメトリプロファイルを挙げるのはすこし的外れの印象ではあるが、ともあれ本論文についてトップ記事として紹介いただいたので転載しておきたい。

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高浜洋介

 

懇親の「場」

今年の日本免疫学会学術集会に際して、添付のような懇親の「場」が企画されていますので、ご案内いたします。ご興味あればお申し込みください。

1119party

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