月別アーカイブ: 2014年6月

高浜洋介

 

五臓六腑

過日、嵐山の清涼寺を訪問する機会があった。巡っていると、絹製の内臓模型が展示されていて、興味をおぼえた。国宝に指定されている仏像を、昭和になってから良く調べてみると、内部から多くの物品がみつかり、そのなかに絹製の五臓六腑模型が発見されたとのこと。この内臓模型そのものも国宝に指定されている。絹でできているためか、展示品は模造品だと書かれていたが、世界最古といわれる内臓の理解を目の当たりにすると、人類が築いてきた学術探求活動の継続性に心動かされる。

ところで、五臓六腑とは、肝・心・脾・肺・腎の五臓と、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦の六腑とのこと。聞き慣れない「三焦」とはいったい何かと思っていたら、リンパ管を含む免疫系だという説があるようである。全身をまもる免疫系は、特定の臓器だけで説明されるシステムではないため、ともすれば分野外から「実体がわかりにくい」などと言われる。免疫系は、全身をくまなく巡ってまもる必要があるシステムなのだから、特定の臓器だけで説明されないのは当然である。そのような免疫系とその「場」の重要性は、五臓六腑という人体理解の時代から、三焦という概念にて認識されていたのかもしれない。

IMG_20140626_221811

街を歩いていると、もうすこしやわらかい内臓理解の図譜に出会うこともある。

 

当ページは班員、班友を中心としたコミュニケーションサイトです。
記事の投稿、コメントは事前登録が必要です。
登録に関しては 領域代表者 までご連絡ください。

高浜洋介

 

近藤寿人博士セミナー

この度、近藤寿人博士に来学いただき、大学院医科学教育部「発生・分化・再生医学特論」の特別講義として「胚発生の原理」と題する講演をしていただく機会があった。転写因子による遺伝子発現制御に視点を置いて脊椎動物の発生生物学研究を先導される近藤博士のセミナーは、発生学の歴史に関する豊富な識見と健全かつ正当な批判を伴う、迫力のある学術講演であった。とりわけ、最近みいだされた体軸幹細胞の研究から「外胚葉・中胚葉・内胚葉の三胚葉それぞれが胚葉特異的幹細胞を有する」との教科書的仮説が誤っているとの発見にいたった内容は圧巻であった。系列決定の問題は免疫四次元空間研究でも重要である。生命にとって基盤的な胚発生においてすら、系列決定機構に今も見直しがなされているのは新鮮であったし、励みにもなる。ときおり映写されるカンディンスキーがお好きとのことで、スタイリッシュなアクセントもある楽しい講演であった。ピンぼけ写真ではあるが、セミナーの模様を一枚。

IMG_20140625_172946

近藤博士とは、メダカを対象にした順遺伝学的大規模スクリーニングを清木誠博士とともにオーガナイズされたとき、私のグループからも胸腺形成変異体の作製に向けて岩波礼将君と国松早苗さんが参加させていただいた頃から知己をいただいている。今回しっかりと会話を交わす機会を得て幸せであった。最近、大阪大学を定年退職され、京都産業大学に異動されたとのこと。テーマを絞り、自らも実験室で実験し、発生学研究を続けておられる、近藤先生から更なる大発見が発信されることを期待する。

 

当ページは班員、班友を中心としたコミュニケーションサイトです。
記事の投稿、コメントは事前登録が必要です。
登録に関しては 領域代表者 までご連絡ください。

高浜洋介

 

四国免疫フォーラム

私のおります四国には、5つの国立大学と7つの私立大学、合計12の大学があります。この四国で免疫学および関連領域で研究教育活動を進める研究者が中心になって、2002年より「四国免疫フォーラム」というミニ学術集会を組織しています。世話人代表は、設立時より徳島大学の安友康二博士が務めておられ、現在は5大学の16名が世話人として運営を分担しています。今年の四国免疫フォーラムは、第13回目として6月21日に徳島大学で開催され、私は当番世話人として集会の切り盛りを担当しました。

今年のフォーラムには75名の参加があり、学生発表5演題と一般発表6演題を核に議論が行われました。また、本研究領域の総括班員でもある清野宏博士による特別講演がありました。次世代研究者の育成に資するべく、学生発表者のうち2名には、厳正な選考のうえ奨励賞が授与されました。今回の奨励賞受賞者はいずれも学部学生諸君でありました。新たな若い力の萌芽を目の当たりにするのは心楽しいことです。会の模様はスナップ写真にて公開しています。

学術研究では、様々な切り口で様々な出席者にて様々な集会が催されます。四国という地域、免疫学という分野、それらを共有するとの接点が四国免疫フォーラムという集会における切り口です。多様な他者との議論は、個人による思考とともに、学術の重要な基盤になります。本新学術領域としては今後も、様々な切り口での議論の場を更に積極的に模索していきたいと思います。アイデアがあれば是非とも遠慮なくご提案いただけますようお願い申し上げます。

当ページは班員、班友を中心としたコミュニケーションサイトです。
記事の投稿、コメントは事前登録が必要です。
登録に関しては 領域代表者 までご連絡ください。