研究室紹介

研究室スケジュール

Weekly Meeting(週1回):

 教授とのマンツーマン(スタッフも同席)にて、実験進捗状況、データを各自まとめ、レジメを作成し、それに沿ってプレゼンテーションする。当日は、プレゼン用のデータだけではなく、実験ノートを持参し、各生データ(失敗・negativeデータも含む)を必ず提出して報告する。また、参考にした論文、データがあれば、引用先を必ず報告.提出する。

Progress Meeting(週1回):

 約2-3ヶ月間の研究内容について、各自の研究のバックグラウンドも含めて30-40分間程度で、発表会形式でプレゼンテーションする。結論、問題点、今後の研究計画なども含めてまとめる。スライドの作成を含むプレゼンテーションスキルを高める目的もかねる。終了後に指摘、助言された点についてスライドを早急に修正して、片桐まで提出する。理解を深める。その後1週間以内に、片桐まで修正版を提出する。

個別Discussion(適宜):

 各自の研究において、論文としてまとめる段階まで進捗した場合に、各データのまとめ方のdiscussionを行う。

論文セミナー(週1回):

 最近発表された(おおよそ半年から1年以内)論文を深く読み、A3レジメ(数枚可)にまとめて約30~40分間で紹介(当研究室スタッフの司会進行)。
 1)1週間前に選択した論文を片桐に報告し、全員に周知。参加者は事前に論文を読んでおく。
 2)レジメには、出典先、Abstractおよび各図のFigure legendは必ず載せる。
 3)論文を選んだ理由、論文を理解するためのイントロなどを記載する。
 4)各図表がわかりやすくなるように補足する
 5)当日は、論文の要点、問題点を示し、論文の実験系も理解を促す。
 5)参加者は当日積極的に質問を行う(必ず一回以上は質問する)。
 6)当日議論した内容を盛り込んで、A4に1枚程度要旨をまとめ、1週間後までに片桐まで提出。
   (校正後、ホームページにアップする)。

論文セミナー要旨

  • 2021
  • 2020
  • 2019
  • 2018
  • 2017
  • 2016
  • 2015
  • 2014

論文セミナー 参加ご希望の方は、片桐まで(tkatagi(at)genome.tokushima-u.ac.jp)

(164)2021年1月14日 担当:松下 洋輔
Midkine rewires the melanoma microenvironment toward a tolerogenic and immune-resistant state. NATURE MEDICINE VOL 26| DECEMBER 2020, 1865-1877

免疫チェックポイント阻害剤 (immune checkpoint blockade: ICB) の登場は, 悪性度の高いメラノーマ (melanoma) の治療成績を格段に向上させており, 現在ではBRAF遺伝子変異の有無に関わらず, ICBの選択が可能となっている. しかしながら, ICBに反応しない場合や耐性獲得機構など、不明な点が多く残されている.  本グループは2017年, 成長因子であるミッドカイン (midkine: MDK) タンパク質がメラノーマの微小環境を刺激することで, 転移に重要な役割を果たしていることを報告しており, 本論文では, MDKの微小環境を調節するメカニズムについて報告している.
 はじめに, RNA-Seqを用いてメラノーマ細胞におけるMDKの全トランスクリプトームへの影響を検討し, その後MDK発現細胞と同じ転写プロファイルを持つメラノーマ患者は予後不良であることを, TCGAデータセットを用いて明らかにした. また, マウスモデルを用いて, MDKの発現が腫瘍への免疫抑制性骨髄細胞の動員を促進していることを見出している. 次に, トランスクリプトーム及びプロテオミクス解析から, メラノーマ細胞と細胞外微小環境におけるMDKの標的遺伝子を同定し, MDKの下流では, NF-kBが主要な調節因子として作用していることを明らかにした. さらに, MDKの高発現がICBに対する耐性を誘導するのに対し, MDKのノックダウンはICBへの感受性を回復させることを見いだした. このメカニズムを解明するために, 著者らはT細胞の応答性に着目した。 その結果、マクロファージがCD8+ T細胞の機能を抑制するように機能して, 腫瘍細胞に対するT細胞の細胞傷害活性を低下させていることを明らかにした. 最後に, MDK欠損腫瘍の発現プロファイルの中にICBへの良好な反応性を示す遺伝子プロファイルを見出し, これらは, グリオーマや肺腺癌, 腎腺癌でも同様であった.
 以上のことから, 免疫システムを抑制するために, MDKはオートクラインもしくは微小環境由来パラクラインシグナルの内在的な調節因子として作用しており, MDK関連発現遺伝子プロファイルが, ICBへの反応性の予測に繋がることが明らかとなった. 一方で, MDKの発現・分泌メカニズムやNF-kB活性化までのシグナル伝達機構はまだ定かではないため, さらなる研究が望まれる.

2020年準備中です

2019年準備中です

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2015年準備中です

2014年準備中です

片桐研究室 学会発表11箇条

1. スライドは、大きく、見やすく、わかりやすく。 

 実験データは、あるものすべて発表したくなるものであるが、確認実験などは必要な限りでよく、1枚のスライド中にデータを詰め込みすぎないこと。文字の大きさは、小さなものでも16ポイント以上(ポスターはこれにあらず)。各スライドのタイトル(Boldにて記載)は、なるべくそのデータの結果を表す言葉を記載する。強調したいデータは見てすぐにわかるよう(囲んだり、矢印を入れたり)に工夫をする。当然、誤字脱字のないこと、フォントの統一、色使いはシンプルに。色覚異常の人にも配慮した色使いを心がけること。一番大事なことは聴衆の気持ちになること。学会にて発表スライドの上手な人を参考にすること。

2. 発表原稿を必ず作成し、事前に繰り返し声を出して練習。 

 発表原稿を事前に必ず作成し、まずは暗記する。声を出して最初から最後まで通して、時間通り話をできるかを繰り返し練習する。経験上、この繰り返し練習回数の少ないほど、時間通り話ができないことが多い。そのまま本番に望むと高い確率で失敗する。

3. 学会発表前に会場にて発表の立ち位置の確認。

 事前に発表する会場に行って、マイクやタイマーの表示、レーザーポインターの使用方法などを確認する(昨今の学会では、事前のスライド登録の際に確認することが多いが、それとは別として確認する)。その際に、一度発表する立ち位置から部屋全体を見渡しておくと、発表時のイメージができ、落ち着くことができる。

4. 学会発表時(本番)では、発表原稿をみて発表をしないこと。

 原稿を見て話をすると、いくら素晴らしいデータでも話に抑揚がなくなり、聞き手にはつまらないものになりがちで、話し手の誠意が伝わらない。

5. 時間厳守。

 発表時間オーバーとなれば、質疑応答の時間が少なくなり、貴重なコメントを受けることができなくなる。さらに次演者以降の発表時間も削ることにもなり、迷惑をかける。

6. 発表はスライドばかり見ないで、できる限り前を向いて発表。

 スライドの方向ばかりを見て話をすると、時間配分がわからず、また聴衆の反応も感じることができないので、独りよがりになりがちである。できる限り、前を向いて話しかけるように話をすることで、誠意が伝わる。

7. 発表はスライド1枚に対しておおよそ45秒-1分間程度で行い、大きな声で。

 これは、原則であるが、これくらいの時間で話すことを心がけると聞き手もわかりやすい。ただ、例えば、目的だけを話をするスライドにはほとんど時間をかけなくてもよいし、あまり聞き慣れない実験手技のデータは、丁寧に話をすることが必要となるので、時間振りは適宜調整すること。発表データが多い場合には、早口になりがちなので、要点を押さえて話をすること。会場にもよるが、できるかぎりマイクは手に持って話をすること(立ち位置の移動で聞こえなくなることがある)。また、噛んで話をしても焦らず、もう一度ゆっくりと話をする。とにかく、聞き手の気持ちになって話をすることが重要。

8. レーザーポインターで話をしているところをできる限り示しながら話する。

 ゆっくりと自分が説明しているところを指す。ポインターをぐるぐる回しながら落ち着かず話をする人がいるが、どこを指しているかわからないし、見ている方は気持ち悪くなる。ただし、図示しなくてもよい場合には、できる限り前を向いて堂々と話をする。

9. 質問には誠意をもって答え、どのような質問であったかを記録する。

 学会で聞かれたことは非常に貴重な意見であり、研究室外からの質疑は、「井の中の蛙」的な発想を打破するのに有効である。質問を発表後にメモして、研究室に持ち帰り、後日みんなで情報共有する。どんな質問にも誠意をもって答え、上から目線では答えないことがよい意見を聞ける「こつ」である。また、質問者の発言で質疑が終わるのではなく、発表者の発言で終わることを心がける。

10. 積極的に質問をする。

 学会で各自興味のある発表、研究室に役立つ内容やテーマ、新技術の情報など積極的に質問する。良い質問の仕方を学ぶ場でもある。また、度胸をつけるためにも、恥ずかしがらないで質問する。ただし、セミナーと異なり、学会では場の雰囲気も尊重し、質問者が多くいる場合には、1つか2つの質問までにする。それ以上の質問をすることは、限られた時間内に質問をしたい人の多くを遮ることとなり迷惑となる。さらに質問したい場合には、セッション終了後に演者に直接質問する。

11. 学会に参加したら、必ず1日最低2演題分の聴講した講演を報告する。

 発表以外は自由行動ではありません。研究室(税金)の経費を使用しているということは、発表以外の時間も有効に、そして興味本位だけとならずに、各自、同僚の身になるための情報を入手することも学会参加の意味である。ただし、各自コンタクトをとることは良いが、共同研究案件に関しては必ず報告すること。